個人の資産形成に向いた新たなインパクトファンドと投資環境の大転換(連載 第4回)

連載「新たなインパクトファンドが個人投資家資金の流れを変える!?」第4回

Q.4.

新たなインパクトファンドは、個人の長期的な資産形成に向いているとのお話しでしたが、これまでの投資信託と比べてどのような点が適しているのでしょうか?

A.4.

個人の財産形成に向いたインパクトファンド(投資信託)がとうとう出てきた! これまでの投資信託と比べて、長期の積み立て投資に本当に役立ちそうだ、と考えています。

大げさに聞こえるかもしれませんが、戦後長らく言われてきたものの、現在でも実現していない、「貯蓄から投資へ」という個人の資金の流れを、インパクトファンドがはじめて実現するのではないか、と期待しています。

運用会社また証券会社や銀行などのファンドの販売会社も、インパクトファンドのこれまでにない特徴にいち早く気づいて、個人投資家の長期の資産形成に貢献するファンドとして、確定拠出年金や個人向けの積み立て投資の対象としても採用して欲しいと願っています。

そのように考える主な理由は、以下の3点です。

  1. インパクトファンドでは、個人投資家がファンドの運用内容について詳細に理解し、納得して長期保有できるように解説する、インパクトレポートを出すようになっている
  2. インパクトファンドは、ESGやSDGsを考慮することがベースにあり、現在や将来のグローバルな社会にポジティブなインパクトを生む企業に厳選して投資している
  3. そのような企業へグローバルに投資している

以下で、理由を説明します。

インパクトファンドでは、個人投資家がファンドの運用内容について詳細に理解し、納得して長期保有できるように解説をする、インパクトレポートを出すようになっている

  • インパクトファンドでは、投資資金が投資リターンに加えて、現在・将来のグローバルな社会的課題の解決に貢献して、社会にプラスのインパクトを産むことを目指しています。
  • インパクトをうたっているため、ファンドへの投資が、どのように社会に貢献してプラスのインパクトを生むのか数値的に計測して、また投資対象となっている各企業についても、具体的に社会へどのようなインパクトを生んでいるのか、投資家に具体的に報告するインパクトレポートを出すようになっています。
  • これまでの投資信託では、運用方法や運用結果について、詳細に説明するレポートはなく、投資家はなんとなくもやもやした感をまぬがれず、納得感に欠けていました。インパクトレポートで詳細な説明がされることで、そうした不満点が解消されると期待できます。
  • 通常のファンドと比べると、運用会社にとっては追加的な時間やコストがかかりますが、投資家にとっては運用会社の運用能力レベルと、ファンドの内容を投資家に本当に理解してもらいたいと考えているのか、といった判断をする材料になります。長期保有するために必要となる、ファンドへの理解と安心感がえられます。

インパクトファンドはESGやSDGsを考慮することがベースにあり、現在や将来のグローバルな社会にポジティブなインパクトを生む企業に厳選して投資している

  • 未来のよき社会を創り出すために欠かせない企業に厳選投資しています。そのベースには、ESGやSDGsといった世界的な目標を達成することに、投資で貢献するという考え方があります。
  • 具体的には、2030年のSDGsや、2050年の温暖化効果ガス排出のネットゼロ目標などの達成に、最も適していると考えるグローバル企業へ投資しています。
  • さらに、社会へプラスのインパクトを産むことを投資目的としていますので、投資対象企業としては、長期のグローバルな社会課題解決に役立つテクノロジーを持ち、また将来の新技術開発競争でも生き残り、世界の最先端を走ると考えられる企業を厳選しています。
  • 投資目標がこのように明確であるため、運用も長期視点となり、長期保有で高いリターンを達成できる投資を目指すことが明確なファンドだと考えられます。

そのような企業へグローバルに投資している

  • グローバルな社会課題解決に貢献する優れた技術を持つ、世界でもトップクラスの企業に厳選投資しています。日本企業も対象となりますが、グローバルな視点でトップクラスの企業を厳選して投資することで、より高い投資リターンが期待できそうです。
  • これまでの投資では、投資のリターンとコストを考えると、インデックスファンドを選ぶのがベストという環境が長らく続いてきました。個人投資家にとっては、アクティブ運用のファンドへの投資では市場平均のリターンを上回れそうもないと判断する場合、あるいはどの銘柄やファンドに投資するのが良いか自分で判断するには、専門知識や判断にかける時間が限られるのであれば、インデックスファンドを選択するのが賢明です。ですが、インデックスファンドは、市場平均のリターンを目指す投資であり、優れた企業だけでなく、そうでない企業へも同時に投資することになります。
  • インパクトファンドをベストの選択肢として検討する価値が十分にあると考えているのは、経済や投資の環境がこれまでとは、主に以下の3点で大きく変化したと考えるためです。
    1. ひとつには、温暖化効果ガスのネットゼロという目標です。これまで参加していなかった中国、米国、インドが、昨年後半に取り組むと表明しました。この3か国で世界のCO2排出量の50%を占めます。ネットゼロは先進国と発展途上国がとり組む、真のグローバルな目標となったと言えます。このように世界の国々が一致してとり組む、大きな社会や経済の目標はこれまでありませんでした。このような目標が今後少なくとも2050年に向けて、各国の経済、産業、企業、また私たちの生活に大きな影響を与えることが確定したといえるでしょう。これまでの社会、経済の取り組みが、世界的に大転換したと理解すべきだと考えています。
    2. この目標を達成するためには、既に開発されている産業技術では十分ではありません。新たなテクノロジーの開発が期待されています。そのような技術を開発できる企業が生き残り、高い成長を遂げると考えられます。
    3. 長期の資産形成には分散投資が重要です。本来は自国の日本の株式への長期投資で高いリターンが得られるのが望ましいのですが、現状では、日本経済や株式市場が低迷からすぐに脱するとはおもえません。また、上記のようなグローバル目標への取り組みでも、トップクラスに入る日本企業は残念ながら限られています。日本社会全体の取り組みも遅れていると考えられています。昨年11月に国際的な環境NGO から、日本に「化石賞」が贈られました。“温暖化対策に消極的”と判断されたためです。
  • このような理由から、グローバルな観点で成長性でも優れた企業へ投資した方が高いリターンが期待できそうです。もちろん、社会へのポジティブインパクトで、より大きな成果が期待できます。
  • 日本経済が低成長から脱出できず、さらに地政学的なリスクも高まり、円安が続いています。過去のような円高局面は、現在の日本経済の競争力を考えると、当面見込めるとは思えません。グローバルに投資するインパクトファンドは、通貨面でも安定したリターンが見込まれそうです。