新たな経済発展のディメンション(連載 第3回)

連載「新たなインパクトファンドが個人投資家資金の流れを変える!?」第3回

Q.3.

これまで述べた仮説にもとづくと、世界の株式市場の時価総額は横ばい、あるいは縮小し、真に社会のサステナビリティに資する企業に投資した場合のみ、投資リターンが得られるはず。そのため、個人の資産形成においても、サステナブル投資を意識すべきだと考えているのですが、考えをお聞かせください。

A.3.

第2回で述べたように、新たな経済成長の可能性や、新たな資本主義のバランスの取り方が今後重要になると考えています。 

その前提として、歴史的な経済の発展には、地理的な拡大が重要な役割を果たしたとの認識があります。最近ではそれとは次元(ディメンション)が異なるサイバー空間での広がりが、経済発展に貢献したと思っています。

15世紀のコロンブスによる新大陸発見や、16世紀以降の大航海時代など、歴史的に見ても、地域的に領土や交易を拡大することによって大国が成長してきました。その後は米国も西へと開拓が進み太平洋までたどり着きました。しかし、第二次世界大戦後には、多くのアジアやアフリカの国が独立するようになり、大国の地域的な拡大による成長は限界に突き当たっています。ただし、一方で第二次大戦後は、自由主義と共産主義で経済圏が分かれ、経済的交流も限られていました。そのため、ソ連の崩壊で東欧諸国が資本市場に組み込まれるという市場拡大がありました。中国も経済的には資本主義の市場に組み込まれるようになり、市場の拡大が最近まで続きました。現在ではそれにも限界が出たように思えます。

このような地理的な拡大に変わり、1990年代からインターネットの商用化が始まり、GAFAとよばれる超巨大IT企業が生まれるようになりました。IT技術の発達による新たな商品やサービスそしてネットワーク社会が生まれたことで、これまでの物理的な経済圏拡大から、新たな次元として、サイバー空間での市場拡大が起きたと考えています。サイバー空間はまだ今後も見込みがありますし、AIなどの利用による新たな市場の拡大もありえると考えています。

さらには、最近の非常に大きな変化として注目すべきは、2030年のSDGs目標や2050年のカーボン排出量ネットゼロという目標を、世界の主要国が、それも中国やインドまでもが受け容れはじめたという点です。ネットゼロという目標は、現在の技術や社会の延長線上では達成が不可能な目標です。見方を変えれば、今後は、新たな社会や経済の在り方、また新たなテクノロジーが、グローバルに求められるようになり、各国や各企業が模索していくことになります。そのため、そこに新たなテクノロジーが生まれる可能性は大いにあり、将来のビジネスチャンスにいち早く取り組む急成長企業も多く出てくると考えられます。既存企業がビジネスポートフォリオを変えて生まれ変わる可能性も高いでしょう。新企業や新産業が生まれてこないと考えることのほうが難しいのではないでしょうか。つい最近生じたこの変化こそが、ITやAIに加えて、経済の新たな次元の切り口(ディメンション)になりえると考えています。

そして、サステナブル投資こそが、まさに、このような社会や企業の変化を捉えて、その実現に向け資金を振り向けようとする投資です。この点は次回お話しします。